09:ムーちゃん

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『私のトラウマは、乗り越えられるものだよ。むしろ今回の件で、私は火がついた!』 「どういうこと?」 「・・く・お・く・ん!」 「・・!」 この前より、ハッキリとした発音で声を出したことりちゃん。 僕は愛おしさのあまり、強く抱き締めてしまった。 「もう1回言って!」 「く・お・く・ん!」 「後100回言って!」 『多いよ(笑)』 「ことりちゃん、沢山練習したの伝わる!上手になって凄い!」 『うん、練習した!これならまだ周りが不快にならないでしょ!(笑)』 僕は最後のことりちゃんの書き込みに、衝動的に声をあげてしまった。 「不快なのはアイツだっ!!!!」 「!」 「あっ・・ごめんね、感情的になっちゃって・・。僕、怒りっぽいんだ・・。」 「く・お・く・ん、あ・い・す・き!」 「!」 『怒ってくれて、ありがとう。正直理不尽すぎて私も怒ってた。共感してくれてスッキリしたよ。』 「・・ごめん。僕正直、共感しきれてないと思う・・。」 『えっ、なにその返し(笑)』 「僕、人の心がわからないハンデだから。把握はしているけど、共感までは至ってないと思う。・・ことりちゃんは、僕が親身だから好きになってくれてるでしょ?だから、いつか共感出来てない事ですれ違って、僕はことりちゃんを傷付けてしまいそうで怖い・・。」 ガタガタ震えている僕を、キョトンと見つめることりちゃん。 そりゃそうだ、僕自身何を言ってるかわからない状態だ。 でも心の奥底で思っている本音を呟き、ちょっとスッキリしてしまっている。 『よくわからないけど、私と久保君が一緒にいたい気持ちが同じなのは、ブレない共感だと思うけどなぁ。少なくとも久保君が今思う不安は、私と衝突して離れてしまうことだよね?大丈夫、私も同じ気持ちだよ。久保君とずっと一緒にいたい。もしも何かあったら、その時に解決しよう。何も起こってない事に怖がっててもしょうがないよ。』 「・・そうだよね。ネガティブになっちゃってごめん。ことりちゃんの明るさにいつも救われる。」 『私、明るくないんだけどね。』 「えっ、そう見えないよ?」 『多分、久保君といるから自然にそうなってるんだ。久保君のおかげ。』
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