09:ムーちゃん

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ついたのは、高層マンション。 大理石の床に質の良さそうなソファー、それを照らすシャンデリアのあるロビーから高級感がある。 部屋は上の階で、透けるエレベーターから夜景が楽しめた。 凄く稼げるタイプなんだろうな。お金でなんとか出来る部分もあるので幸いだが、真の孤独は埋めれない。 お客様の住む部屋の前につくと、チャイムを鳴らし自己紹介をする。 「こんばんは。PUZZLEの久保です。」 扉を開いたのは、申告していた年齢より若く見える吊目の女性。いや、肌やシワの感じは年相応。ただ僕と同様に、雰囲気が幼い。 仕事から帰ってすぐなのか、服装はスーツだ。 彼女はムッーとした顔で僕を睨み付けながら中へ通してくれる。 「お邪魔します。」 そう挨拶をし座って靴を脱ぐと、彼女は僕の顔に足を押しあててきた。 「舐めろ。」 あれ、そういう趣味の人?いや、だったら違う専門の出張風俗使っているだろうし、何より自分がアスペルガーだと告白しない筈。 僕は彼女の顔を観察する。 彼女も僕を観察している。鋭い目で、警戒心を持って。 これは、下手に作った自分を出さない方がいいな。 「嫌です。」 人の足を舐める趣味がない僕は、嫌だったので素直に断り部屋の中へ入っていった。 そんな僕をムッと睨み付けながらも、彼女は何も言わず後をついてくる。 机や時計等と家具や小物はガラス製のものが多く、白を基調とするスッキリとした部屋だ。 椅子やソファーはなく、ベッドの近くにある机の上にはワインと食べかけのパンやチーズが置いてあり、食事中だったのが伺える。 そして、奥の全面の窓ガラスにうつる都会の夜景が絶景だ。さすが、上層階。 僕は窓辺に近付き、景色を楽しんだ。 「ビルの光ってずっと見てられる位好きなんです。素敵な場所に住んでますね。」 「まぁそうだな。私もそう。で、アンタは何のハンデを持ってるんだ。」 こんな早々にバレるのは、初めてだ。 説明をするのは大変なので、僕は障害手帳をリュックから取り出し彼女に見せた。
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