09:ムーちゃん

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「そんなの、ただの強姦だ・・。」 その単語に反応し、僕の頭の中に過去に封じ込めた記憶がフラッシュバックしてしまう。 「アンタ、共感出来るじゃない・・。」 「えっ・・。」 「泣いてくれてる・・。」 「あぁ・・僕は過去の経験と重ねて感情に置き換える形だから、共感とはズレてると思う・・。」 「私からしたら、充分共感出来てる・・。私は療育を勧めた良き父が死んでも泣けなかった・・。幼すぎるせいもあって死を実感しなかったのもあるけど、周りが泣いているのに私だけ泣けず。そんな私に母は泣いたけど、私は何も感じなかった。・・他人の気持ちに寄り添って、泣いた事がない・・。」 無表情に答える彼女に、僕は微笑みながら頭を撫でる。 「ムーちゃん、一緒に気持ち良くなろう。」 僕はクリトリスを押したり撫で回し充分に刺激を与えてから、中に少しずつ指をいれていく。充分に濡れている。 薬を飲む前に僕は口にキスをしようとしたが、額を手で押しあてられながらムッとした顔で拒否されてしまう。寂しい。 充分ほぐれた体に自分のモノを通すため、薬を飲み勃起したソレにコンドームをつける。 「・・大きいな。」 「えっ、多分標準・・。」 「元カレは、半分以下のサイズ・・でも太かった・・。」 「そっか・・。」 入りにくく、でも気持ちの良い場所に届かない感じか。 僕はゆっくり中にいれ、クリトリスにソレをぶつける感じで、腰を動かした。 「ぁぁっ・・!」 表情は固いのだろうが、感じてる事は充分伝わる。 「なか、きもちいい・・。」 「っ・・きもちいい・・。」 僕らは共に果てれた。 終わった後処理をしている中、ムーちゃんは怒った顔で枕を叩いている。 「アハハッ!今日見たなかで1番表情豊か!」 「だって、セックスの共感のなさは、アイツが原因だったから!!!アイツが凄く悪い!!!!」 「ねぇ。男側の問題だと男からしても思う。」 「ずっと私が、アスペルガーだから・・だからいいセックスが出来ないと思って自分を責めてたのに・・!!!!」 診断は救うものでもあるけど、時として自分を責めてしまうものでもある。 ある程度枕に当たり散らしたムーちゃんに、僕はお風呂の誘いをしてみる。
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