09:ムーちゃん

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「ムーちゃん、一緒にお風呂入ろう!」 「嫌、邪魔。」 「えっ・・寂しい。」 「寂しい寂しいうるさい。そこのテーブルのもの食べてていいから待ってて。」 「チーズ嬉しい!野菜も食べたいです。」 「図々しいな。私の家はワインとチーズとパンとウィンナーしか置いてない。」 「あっ、もしや偏食持ちですか?」 「悪いか。」 「ヨーロッパだったら、生きやすそうな食生活だなと思いました。」 「あぁ。日本の満遍なく食べる風習うざったい。」 ムーちゃんは相変わらず不機嫌そうにシャワーへ向かっていった。 僕の印象だけど、アスペルガーって偏食持ちが多い。やはり、脳特有のこだわりからきているのかな。 かという僕も、感情の上下を抑えるグルテンフリーを目指しているので、パンはつつかず他のものを食べた。 シャワーを浴び、残り時間はアロマオイルのマッサージを施す。するとムーちゃんは、今までの中で1番ご機嫌そうに微笑しながら楽しんでいる。 「うまい。色々な整体使ってきたけど、アンタが1番上手。資格持ってる?」 「持ってないです。独学した人に教えて貰った。」 「へー。なんか水商売してるけど、教えて貰った人と店やんないのか?通いたい。」 「教えてくれた人、亡くなった。」 「そうか。てかそもそもなんで、こんな仕事をしてるの?」 「親の借金で強制。」 「悲惨。やっぱり私がアンタだったら自殺してる。」 「そんな悲惨ですかね。案外、楽しく生きてるけど。」 「凄いな。アンタは色々出来ないだろうけど、生きる事と整体の才能は本物だと思う。ただ、アンタを抱くのに30万は高すぎ。予約している人の気が知れない。」 この反応、ムーちゃんはリピートなしかな。 そう心で呟くと、タイマーが終わりの時間を教えてくれた。 「今日はありがとうございました。じゃあね。」 そうアッサリとした挨拶で出ようとした瞬間、ムーちゃんに手首を掴まれ制止された。
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