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「ムーちゃん、一緒にお風呂入ろう!」
「嫌、邪魔。」
「えっ・・寂しい。」
「寂しい寂しいうるさい。そこのテーブルのもの食べてていいから待ってて。」
「チーズ嬉しい!野菜も食べたいです。」
「図々しいな。私の家はワインとチーズとパンとウィンナーしか置いてない。」
「あっ、もしや偏食持ちですか?」
「悪いか。」
「ヨーロッパだったら、生きやすそうな食生活だなと思いました。」
「あぁ。日本の満遍なく食べる風習うざったい。」
ムーちゃんは相変わらず不機嫌そうにシャワーへ向かっていった。
僕の印象だけど、アスペルガーって偏食持ちが多い。やはり、脳特有のこだわりからきているのかな。
かという僕も、感情の上下を抑えるグルテンフリーを目指しているので、パンはつつかず他のものを食べた。
シャワーを浴び、残り時間はアロマオイルのマッサージを施す。するとムーちゃんは、今までの中で1番ご機嫌そうに微笑しながら楽しんでいる。
「うまい。色々な整体使ってきたけど、アンタが1番上手。資格持ってる?」
「持ってないです。独学した人に教えて貰った。」
「へー。なんか水商売してるけど、教えて貰った人と店やんないのか?通いたい。」
「教えてくれた人、亡くなった。」
「そうか。てかそもそもなんで、こんな仕事をしてるの?」
「親の借金で強制。」
「悲惨。やっぱり私がアンタだったら自殺してる。」
「そんな悲惨ですかね。案外、楽しく生きてるけど。」
「凄いな。アンタは色々出来ないだろうけど、生きる事と整体の才能は本物だと思う。ただ、アンタを抱くのに30万は高すぎ。予約している人の気が知れない。」
この反応、ムーちゃんはリピートなしかな。
そう心で呟くと、タイマーが終わりの時間を教えてくれた。
「今日はありがとうございました。じゃあね。」
そうアッサリとした挨拶で出ようとした瞬間、ムーちゃんに手首を掴まれ制止された。
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