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「久保。お前をもう30万で買うつもりはない。でも、助けたいとは思った。いや、むしろ人生逆転させて勝たせる。」
「?」
「お店の縛りで連絡先を教えられない関係だけど、プライベートで会っての交換は可能なの?」
「うん。何人かそれで友達になったお客様がいる。ムーちゃん友達になる?僕が会える場所のヒント教えようか?」
「必要ない。会えなきゃ私との縁はそれまで。またな、久保。」
そう扉を閉じ、鍵が閉まった。
けっこうムーちゃんの家は遠いから、会えるのかな。そう一瞬考え帰宅した。
だが翌日の朝。お店につく前に寄ったコンビニでムーちゃんに会えた。
「えっ、ムーちゃん!?」
「やっぱり寄るだろうと思ってた。」
「どうしてわかったの?」
「アンタのリュックに突っ込んであった自社ブランドのジュース。最近関西から進出して東京にあまりないコンビニだから特定しやすかった。アンタの職場の近くにその店があったりと寄る要素が高かったから。」
「凄い!探偵みたい!」
「でもまぁ購入時間や場所といい、明確なものじゃないから最初で最後の労力だと思って挑んだ。会えなきゃそれまでだと思って諦めてた。」
「ムーちゃんって曖昧なものが苦手なタイプだと思ってたから、凄く意外。」
「あぁ嫌いだ。でもアンタという存在が色々曖昧そうだったから、それを踏まえて確実な約束をせず今回の形にした。逆に言うと、その不快になる要素を詰め込んだアンタに情が湧き関わりたいと思った。私にしては珍しい事だ。」
「そうなんだ、ご縁あったね!ムーちゃん、連絡先交換しよう。」
「あぁ、後まだ時間ある?」
「10分位なら。」
「そうか、じゃあまた今度だ。久保、私の趣味の株を教えてやるよ。アンタにとって有益な友情を築いてあげる。」
友情というものに有益って見方があるのかな。
そう疑問に思いつつ僕はムーちゃんの指導の元、株の世界へと足を踏み込んだ。
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