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フクちゃん、待っているよ。
岩のように体が動かないフクちゃん。僕は4年間関わってきてそれを実感した。
でも、僕への愛着も本当だ。きっと僕のために動いてくれる。
じゃないと、フクちゃんは横田君と馴染むまで完全孤立してしまう。
スマホを取り出し、フクちゃんのお母さんに電話をかけた。
お金がある故に彼女にアパートを与え、目に入らないようにしているお母さんに。
「こんにちは。PUZZLEの久保です。」
「久保さん!今までありがとうございました。・・すみません、此方の都合で打ち止めになってしまい・・。」
「いえいえ、むしろ値段が上がる中でも沢山雇って頂きありがとうございます。お父様に今まで仕事お疲れ様ですと伝えて頂ければ嬉しいです。そして、PUZZLEの利用を継続して、横田を雇って頂きありがとうございます。」
「久保さんが薦める人だから・・娘もその人ならまだ会えると・・。」
「他の業者は受け入れる気はないのですか?」
「娘が・・奇っ怪に見られるからと拒否していて・・。すみません、そもそも私達がやるべき事なのに、全て久保さんに任せてしまって・・。」
「いえ、むしろ娘さんに会えて幸せでした。まだ新人の頃、失敗ばかりの僕を笑って許してくれました。彼女のおおらかさがあったからこそ、今の僕があると思っています。」
「会えて・・幸せ、でしたか・・。」
「はい。」
「うっ・・うううっ・・。」
泣いて僕の言葉を噛み締めるお母さんに、フクちゃんの愛情を感じる。
ただ彼女は、フクちゃんに会いたがらないだろう。僕らが特性故に限界があるように、親のキャパにも限界がある。
「長い間、優衣をありがとうございました!」
そう電話が終わり、僕は受話器を置いた。
またきっと会えるはず。
そう心の中で反論して。
お昼御飯と歯磨きを済ませ、僕は2人目のお客様の元へ向かった。
待ち合わせ場所はホテル。
凄く綺麗な場所で、会える相手も相手なだけあってテンションが上がってしまう。
指定された部屋に入り、僕は真っ先にお客様に抱きついた。
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