10:フクちゃん

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「おねーちゃん!!」 「ハハッ・・まだおねーちゃん設定引きずるか!」 「会えて嬉しい!よくガラパゴスのジャングルから生還したねぇ!」 「ちょっと待て!なんか新しい設定が増えてる・・!」 「アハハッ!おねーちゃん、自力で雇ってくれてありがとう。」 今日の最後のお客様。フクちゃんと同じADHDのおねーちゃん。漫才のツッコミ担当だ。 もうお互いにシャワーを浴びているようなので、下着の状態になり肌同士を引っ付かせながら談話を楽しんだ。 新調したであろうピンクの下着で、緊張しながら僕に包み込まれるおねーちゃんが可愛い。 「おねーちゃんのフリーゲーム、掴めない彼・・だよね?大ヒットおめでとう!あれ、思いっきり僕がモデルだよね?」 「ぶっ・・!知ってたんだ・・!?」 「うん。でも、あれ凄く短いね。累計1時間位でクリアしちゃったよ。」 「なんで最短ルートでクリアしてるの・・!?タイトルの通り掴めなくて攻略難しいのに・・!」 「さすが本人、だね。次の新作はまだ出さいの?」 「・・掴めない彼はヒットして、小説や漫画化されたけど、次に繋げるアイデアもコミュニケーション能力もなかったからそれっきり何も作ってない。何より、就職も決まったし。」 「そうなんだ!おめでとう!」 「オマケに大手。」 「おぉ!」 「・・障害者雇用だけどね。」 そう告白しながら、彼女はポロポロと涙を流しだす。僕はそんなおねーちゃんに頬擦りしながら、話しをつづける。 「なんで、泣いちゃうの?お給料低かった?」 「いや・・障害枠なのに充分貰えてる・・。シュレッターにかけたり書類を運んだりと小学生でも出来る仕事で、それなりの給与を貰えてる・・。」 「そりゃそうだよ。会社を回すための大切な人材だもん。貰えて当たり前だよ。」 「それでもさ・・凄い簡単な仕事なのに、ミスをするんだ・・。いくら工夫しようが、よく出てくる無意識な私が何かをやらかしてしまう。でも、薬でだいぶそれが抑えれるようになった。・・ADHDの薬分かる?」 「うん。」
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