10:フクちゃん

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結局面会時間が終わるまで、ことりちゃんが包み込んで慰めてくれた。彼女と別れた後も気持ちを引き摺り体の震えが収まらず、そんな中病院を出た。 普通なら、もっと気持ちを切り替えられるのだろうな。 ことりちゃん、僕面倒くさかったよね?嫌いになった? 自分の不安定な情緒を見られ、更に不安が込み上がった面倒くさいラインを送りたくなってしまう。 何度も息を整え、ゆっくりと妥当な文を15分間かけてラインに打った。 ことりちゃんのおかげで気持ちが整えられたよ、ありがとう。大好き。 するとすぐさま、鳥がいっぱいハートを出すスタンプで返してくれる。 良かった、言葉間違えなかった。 ただまだ気持ちの整理がつけないで、引きずる僕がいる。 駄目だ、何か気を紛れさすアクションを起こさないと。でも気力がない。何か強制的なアクションはないだろうか。 そう願っていると、ある人物から誘いが入り僕は向かうことにした。 「ムーちゃん!」 「・・やっぱり解散。」 「何で!?ムーちゃんから呼んだのに。」 「泣いた痕跡があるから。今日の久保は、めんどくさそう。」 「せっかく気分転換になると思って来たのに・・面倒くさくならないよう頑張るから、付き合ってよムーちゃん。」 「もう既に面倒だけど、まぁいい。とりあえずスマホを見せて。株を移動させる。」 「もう全額移動させたよ。」 「はぁぁっ!?いつ!?」 「電話かけた後、すぐ。」 「すぐ!!?動かすなと忠告してからすぐ動かしたのか!!?ありえない!!!とりあえず見せろっ・・と、案外悪くない選択でいい時に買えたな・・。」 「化粧水も貰えるらしい。」 「株主優待の存在を分かってるのか。意外。」 「株主優待?」 「・・分かってないでやったのか・・。株主に長く保有して貰えるように自社製品等を贈ってくれる任意制度。」 「雪華さんの会社だけじゃないんだ、それ。」 「あぁなるほど。客の勤め先か。」 「・・・・。」 「会社のルールで、お客の情報黙秘だもんな。まぁいい。久保、とりあえず、1万払うから1時間くらい整体やってくれ。肩辛くて。」
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