11:こわいひと

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今日は性病検査をしてお客様を1人だけを相手にする日。ようは、休暇日だ。特にこの日の相手は雪華さんなだけあって、完璧な休暇日のような感覚だ。 相変わらず、愛撫が上手で気持ちいい。オマケに、ひたすら尽くしてくれている。 「雪華さんは童貞で、僕が奪うまで処女だったよね・・?」 「うん。」 「なのに、異常に上手だね・・?」 「一歩寸前なら、経験は多い方かもしれない。・・若い時は特に、自分の性のあり方を試したくて、近寄ってきた相手と片っ端に。でも、誰とも成り立たなかった。基本付き合う相手は女性なんだけど、男の時でも同性を抱いている嫌悪に襲われてしまう。」 「・・雪華さんって、心は女性の方が強そうだね・・?」 「・・・・。」 更なる性感帯に触れようと雪華さんの手が動き、僕は快楽に陥る。だがもちろん、いつも通りに下半身は動かない。 「ううっ・・薬使いたいよぉ・・。」 「駄目。」 「えー・・。」 「少しでも、蓄積させちゃ駄目。」 そんなやり取りをしながら、タイマーが鳴ってしまう。僕の中では消化不良。 雪華さんは半分勃っているものの会う前に抜くらしく、彼女との行為は時間内での愛撫だけで終わらせるのが常だ。 女として終わりたいのか、はたまた以前に行為中男の状態になって僕が鳥肌を立ててしまった事がトラウマなのか。後者だったら本当に申し訳ない。 そんな気持ちを抱えながら、僕は雪華さんと共にシャワーを済ませた。 「相変わらず、スカートはいてくれないんだね。下着もボクサーだし。」 「いや、もうこのロングのウィッグ姿すら申し訳ないのに・・。」 「スカート姿見たいんだけどなぁ。」 「・・わりと、本気で言ってくれてるよね。凄いなぁ。でもはかない。この容姿でスカートなんて、自分でも耐えられない・・髪ですら、鏡で見ると相当キツいのに。」 「えー、僕は見たいのに。」 「・・諦めて。それはそうと、お昼は予定通り家で食べるのよね?」 「うん。」
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