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お父様って、あの背後で腸煮えくり返ってるこわいひとのこと?
「いやいや?」
「アハハッ!逆に激甘なんですか?でもまぁ、今も息子の髪型についてくレベルで過保護なのは凄いですよね。ただ、お兄さんのルックスだったらこだわって欲しい気持ちも分かりますがね!」
「いやいや?どう見ても借金取りだよ?」
「ぷっ・・いや、まぁ見た感じはそんな感じでしょうが・・ぷぷっ・・。」
「いや、本当だよ?僕には借金があって、風俗に落とされている最中なんだ。商品が故にこだわってるんだよ。」
「えっ・・。」
そんな話しをした後から、美容師さんとの会話がなくなった。
会話の取捨選択って大切だよね。
そして、こわいひとがお父さんに見えてしまうのか。確かに小さい頃から、父親のような役割りをしてくれている。
ちなみに髪は、基本母だが忙しい時はこわいひとが切ってくれていた。
僕は宿題をやろうとすると寝てしまう人間で、それを活用してこわいひとは切ってくれたのだ。
幼い頃、僕はこの人に頼りっぱなしだった。
幼いながらも、信用できる大人だと何となく感じていたからだ。
「お仕事下さい。」
小学校の低学年。僕はこわいひとにそう頼む。
「どうしてだ。」
「給食費、僕だけいつも払えてない。でもお父さんとお母さんに言うと困っちゃうと思うから。」
「・・お前は父親と違って、自分のケツは自分でふくんだな。」
「あのね、100円分だったら自動販売機とかを見て集められるけど、1ヶ月4000円は難しいんだ。」
「わかった、1ヶ月4000円の仕事をやるよ。」
任された仕事は、AVの撮影で使われた部屋の掃除。
お仕事を真面目に取り組むものの、10分で1タイルと非常に片付けるスピードは遅く、それにイラついた借金取りは僕に暴力を振りだした。
そんな中、こわいひとはただ一人具体的な案をくれる。
「すばる、このメトロノームの音に合わせて動いてみろ。1タイルを磨く回数は5回。」
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