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「すてきなひとらね!」
「借金取りだけどね。」
「ぷっ・・ふふっ!」
「借金取りなのに、お金を奪う以上に与えて貰ってる。」
『そんな捉え方をする久保君が好き。』
「ことりちゃんも、わりと僕のようにプラスに捉える人だよね。」
『前にも言ったけど、それは久保君と一緒にいる故だよ。正直、久保君といる私はけっこう自身が好きになる。久保君がいないと、私は暗くなっちゃう・・。』
「そうなんだ?じゃあ、ずっとことりちゃんと一緒にいる!」
そうやって抱き締めると、ことりちゃんは震えて泣き始めた。
どうしよう、どうして泣いているのかわからない。
「ごめんね。僕、ことりちゃんがなんで泣いているのかわからない。」
『いきなりごめんね、分かるわけない事だから。1つは、ずっと一緒にいる事を約束してくれたから嬉しくて。もう1つは、不安になっちゃちゃったの。久保君の体を心配して薬を使わせないお客さんに。本当に、愛が深そうで。いや、その人だけでなく他のお客さんも、久保君の事が大好きなんだろうなって。』
「でも、ことりちゃんが愛してるで、他の人は好きって感じだから大丈夫だよ。」
歪んだ感情なのだろうが、こうやって嫉妬して泣いてくれているのが嬉しく愛しい。
僕はさらに、力が入って体の密着が強くなる。
「そうだ、ことりちゃん!今のペースで行くと、30代で借金返し終わるんだって!」
「えっ・・。」
「借金片付いたら僕、プロポーズする!」
「うれしいのりゃけりょ・・。」
あまり嬉しそうじゃない。
でも拒否とも違う、戸惑った表情。
少し考えると、ことりちゃんの気持ちが見えてくる。
僕達は6才差。30代ってことは、ことりちゃんは40代になっている可能性もあるもんね。遅いよね。
「他に貯金がある!今、元お客様の友達が株を教えてくれて、増やしてる・・!だから、もっと早く返せると思う・・!」
『久保君、私もアナタの人生に巻き込んでほしい。一緒に借金を返す。その優しい借金取りさんを紹介して。』
「えっ・・。」
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