02:ぐるぐるちゃん

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相変わらず、下半身を弄りながら目がぐるぐるとしている。ソワソワもしている。 これから起こる行為ゆえ、ではなく、生粋に常にソワソワした感じだ。 自分の家にいてリラックス出来る空間なのに。 彼女の特性に、多動はないはずなのに。 僕がいるから?自閉特有の環境の変化が苦手だからか。 「あっ・・。」 とある憶測が頭に過り、思わず声に出てしまった。 僕は男性に問いかける。 「あの、この目がぐるぐるしたりソワソワした感じって、普段もありますか?」 「1週間前から常にこんなんだ。その前は別にもっと大人しくて、下半身を弄るなんてしなかったのに・・。」 「もしやその1週間前って、お母様が亡くなった日からって事ですかね・・?」 「・・あぁ・・。」 なるほど、パニックを自慰で抑え込もうとしているのか。 だが男性は既にその事が分かっていたようで、悔しそうに言葉を吐き出した。 「どうすればいいか分からねーんだよっ・・!世話も、娘は自分の力で逝けないことも、安心させることも・・!」 「そうですよね、それが普通です。他者に頼るのは、賢明な判断だと思います。責任を持ち、娘さんを気持ち良くさせますね。」 「なぁ、俺もこのまま見ていいか!?」 「えっ。」 「本当に、娘が分からないんだよ・・!アンタ、ガチもんのプロだから・・。」 正直、ぐるぐるちゃんが分かってないとはいえ、親でも立ち入っては駄目な部分故に抵抗がある。 とはいえ、この人は純粋に学びたそうだしなぁ。  だが、それとこれは別だ。 悩んだ末、僕はこう結論を出した。 「すみません、それは控えて頂けますか?」 そう言うと自分の誤ちに気付いたのか、顔を真っ赤にしすみませんと言いながら頭を下げだす。 「・・部屋、移動しましょう。良ければ、お母様の写真や仏壇がある部屋でしたいのですが。」 「はぁっ・・!?」 「その方が、娘さん、安心するんじゃないかな・・。」 「・・まぁ、そうかもな・・。妻が亡くなって、大抵仏壇の部屋ばかりいるんだ・・。」
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