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「・・すばるさんって、どういう風に接したら嬉しいのですか?」
そう尋ねてきたのは、うさぎちゃん。
いつも一方的で独自の解釈で物事を進める彼女が、僕の意見を聞き入れる姿勢に凄く感動している。
「もうこうやって、僕の事を知ろうとしてくれているのが凄く嬉しいです!」
「私、すばるさんの事、何でも知ってますよ?」
「・・うん、それはちょっと怖いかな。」
「ただ知っていても、その先には進められてないですね。結局、お客止まりの関係。勃起もさせれてない。」
「あー・・。」
そう言えば、勃起をしたらお婿さんになるような約束をしているとメモに残してあったなぁ。
ことりちゃんがいる今、過去の自分を恨んでいる。
「どうやったら、私に恋愛感情を抱いてくれますか?」
凄く難しい質問だ。
そう言えば、数々のお客様と接した中で、何でことりちゃん1人に恋愛感情を抱いたのだろう。
プロフィールを見たとき、字の雰囲気は好きと思ったが会うと覚えられない印象の顔だったのに、いつの間にか好きが爆発していた。共にいる時間の分、フィーリングが合うのが分かって・・うーん、凄く抽象的で言葉にしにくい感情だ。
「そもそも人って、どうやったら好いてくれるんですかね・・それすら分からず生きてきたので・・。」
けっこう、深刻そうな顔で悩んでいる。
そう言えば、彼女のご両親はいつも不在だけど、引きこもりがちで学校へ行かず出張風俗を活用するうさぎちゃんに干渉しないのだろうか。むしろ、その事を知っているのだろうか。
この屋敷で働くメイドさんは、いつも送迎してくれる1人だけしかいないようだし。
彼女、社会だけでなく全てに孤立している気がする。
「とりあえず、ほんのちょっと外でデートしませんか?」
「えっ・・!」
「この後少し時間があるんです、良かったら近場で散歩しましょう。」
「は・・はい!」
「・・もうちょっと、お家で2人の特別な時間を楽しんだらね。」
「・・はい・・。」
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