12:アーティスちゃん

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そう素直に羨ましがっていると、うさぎちゃんはボロボロと涙を溢しはじめた。 未来とはいえ、学校の話しは酷だったかな。 「私にとって、こうやってコンビニで立ち食いする事はファンタジーな事なのです・・。いや、誰かといることすら・・とっても難しくて・・。人の普通が、いつか私の普通にもなるのでしょうか・・。」 「・・うさぎちゃん次第だと思います。とりあえず、受験頑張って下さい。応援しています。」 うさぎちゃんは凄く、この世で息がし辛そうだ。 「あれ、お帰りですか?」 「はい。」 うさぎちゃんを部屋に見送り帰ろうとしてた時、絵を飾るメイドさんに会った。彼女の手に持つ青黒い抽象的な絵が目にはいる。 「この絵・・。」 「お嬢様のお気に入りの作家さんなんです。何か、この絵から発する孤独に共感するとかで。」 「訳が分からないです。」 「ぷっ・・ふふっ。良かった。私もワケわからないんです。でもお高い絵なんですよ?」 うん、知っている。 ちなみにこの絵の作者さん、次にお相手するお客様でもある。 「あ、そうだ。私は近々お仕事辞めるんです。久保様とここでお会い出来るのはこれで最後なんですよ。」 「そうなんですか?」 「はい。最後に門まで送っていきますね。」 絵をすぐさま飾ってから、彼女は僕の前を歩き出入口まで向かってくれる。 「そういえば、お嬢様と何処へいかれたのですか?」 「コンビニで立ち食いしました。」 「えっ・・あのお嬢様が・・。」 「こういうことをこの先したいって、泣きながら言ってました。」 「そうなんですか・・。お嬢様、基本人に冷たかったり感心なかったりする印象でしたが・・長年勤めた私ですら、最後もあっさりでしたし・・。・・久保さん、質問があります・・。」 「はい?」 「お嬢様って、精神的な障害や病気を持っていますか・・?」 メイドさんの気持ちは分かる。 ちょっと、疑っちゃう要素を持ち合わせている子だ。ただ僕はそんな質問には決まってこう言う。 「申し訳ないです。お医者さんじゃないから何とも言えないです・・。」 「・・そうですよね、失礼しました。」
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