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そう素直に羨ましがっていると、うさぎちゃんはボロボロと涙を溢しはじめた。
未来とはいえ、学校の話しは酷だったかな。
「私にとって、こうやってコンビニで立ち食いする事はファンタジーな事なのです・・。いや、誰かといることすら・・とっても難しくて・・。人の普通が、いつか私の普通にもなるのでしょうか・・。」
「・・うさぎちゃん次第だと思います。とりあえず、受験頑張って下さい。応援しています。」
うさぎちゃんは凄く、この世で息がし辛そうだ。
「あれ、お帰りですか?」
「はい。」
うさぎちゃんを部屋に見送り帰ろうとしてた時、絵を飾るメイドさんに会った。彼女の手に持つ青黒い抽象的な絵が目にはいる。
「この絵・・。」
「お嬢様のお気に入りの作家さんなんです。何か、この絵から発する孤独に共感するとかで。」
「訳が分からないです。」
「ぷっ・・ふふっ。良かった。私もワケわからないんです。でもお高い絵なんですよ?」
うん、知っている。
ちなみにこの絵の作者さん、次にお相手するお客様でもある。
「あ、そうだ。私は近々お仕事辞めるんです。久保様とここでお会い出来るのはこれで最後なんですよ。」
「そうなんですか?」
「はい。最後に門まで送っていきますね。」
絵をすぐさま飾ってから、彼女は僕の前を歩き出入口まで向かってくれる。
「そういえば、お嬢様と何処へいかれたのですか?」
「コンビニで立ち食いしました。」
「えっ・・あのお嬢様が・・。」
「こういうことをこの先したいって、泣きながら言ってました。」
「そうなんですか・・。お嬢様、基本人に冷たかったり感心なかったりする印象でしたが・・長年勤めた私ですら、最後もあっさりでしたし・・。・・久保さん、質問があります・・。」
「はい?」
「お嬢様って、精神的な障害や病気を持っていますか・・?」
メイドさんの気持ちは分かる。
ちょっと、疑っちゃう要素を持ち合わせている子だ。ただ僕はそんな質問には決まってこう言う。
「申し訳ないです。お医者さんじゃないから何とも言えないです・・。」
「・・そうですよね、失礼しました。」
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