12:アーティスちゃん

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少し会話に間が空き、考えるメイドさん。 そしてこんな質問もしてきた。 「お嬢様に、病院へ行くことを勧めた方がいいですか。」 難しいところだなぁ。メイドさん的には辞め際故の親切なのだろうけど。 「精神障害や病気の診断は、あくまでも本人の生きやすさに繋がるためのものですが、余計なお世話にもなりかねます。」 「余計なお世話・・そうですよね。じゃあ、伝えない方がいいかもしれない・・。少なくとも、私の口からは。でも久保様なら素直に聞いてくれそうです。」 「・・・・。」 「ふふっ。ぶん投げてしまって申し訳ありません。これからもお嬢様の事をよろしくお願いいたします。」 「・・はい。メイドさん、なにかと言ってうさぎちゃんの事を想ってますよね。優しい。」 「優しくないです。歪んでます。」 少し苦しそうな顔をして、深呼吸をするメイドさん。そして表情を一転させ、妖艶に甘い声で呟きだす。 「お嬢様の後に、アナタを寝とれるのが楽しみです。」 もう、メイドさんを抱く日は間近だ。 門を出て、僕は最後のお客様の所へ向かった。 都会ながらも、森林に面した住宅街。その一角に今日のお客様のアトリエがある。 カラフルで奇抜な感じの家。 僕はそこのチャイムを鳴らし、すぐ扉を開けようとした。 だが、鍵が掛かっている。 状況が状況だから、いつも僕が来る直前は鍵を開けてて欲しいと頼んでいるのに。まぁ、いつもの事だ。 そう思っていると、鍵があき扉が思いっきり開かれた。見えたのは、キリッとした目の美少年のような女性。僕より若く見えるが34歳。 両腕が無く、そして全裸だ。 「相変わらず、訳が分からない。」 「ふふっ・・相変わらず辛辣だねぇ。でも凄く興奮する・・。」 「お巡りさんに捕まっちゃうから、とりあえず中に入ろう。」 「久保、ボクと同じペアルックになろうか。」 「いやいや。ダブルで捕まるだけだから。」 「これは、ボクのプロポーズだよ?独房で共に孤独に過ごそう。」 「訳が分からないよ。とりあえず、中に入るね。」
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