6人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
少し会話に間が空き、考えるメイドさん。
そしてこんな質問もしてきた。
「お嬢様に、病院へ行くことを勧めた方がいいですか。」
難しいところだなぁ。メイドさん的には辞め際故の親切なのだろうけど。
「精神障害や病気の診断は、あくまでも本人の生きやすさに繋がるためのものですが、余計なお世話にもなりかねます。」
「余計なお世話・・そうですよね。じゃあ、伝えない方がいいかもしれない・・。少なくとも、私の口からは。でも久保様なら素直に聞いてくれそうです。」
「・・・・。」
「ふふっ。ぶん投げてしまって申し訳ありません。これからもお嬢様の事をよろしくお願いいたします。」
「・・はい。メイドさん、なにかと言ってうさぎちゃんの事を想ってますよね。優しい。」
「優しくないです。歪んでます。」
少し苦しそうな顔をして、深呼吸をするメイドさん。そして表情を一転させ、妖艶に甘い声で呟きだす。
「お嬢様の後に、アナタを寝とれるのが楽しみです。」
もう、メイドさんを抱く日は間近だ。
門を出て、僕は最後のお客様の所へ向かった。
都会ながらも、森林に面した住宅街。その一角に今日のお客様のアトリエがある。
カラフルで奇抜な感じの家。
僕はそこのチャイムを鳴らし、すぐ扉を開けようとした。
だが、鍵が掛かっている。
状況が状況だから、いつも僕が来る直前は鍵を開けてて欲しいと頼んでいるのに。まぁ、いつもの事だ。
そう思っていると、鍵があき扉が思いっきり開かれた。見えたのは、キリッとした目の美少年のような女性。僕より若く見えるが34歳。
両腕が無く、そして全裸だ。
「相変わらず、訳が分からない。」
「ふふっ・・相変わらず辛辣だねぇ。でも凄く興奮する・・。」
「お巡りさんに捕まっちゃうから、とりあえず中に入ろう。」
「久保、ボクと同じペアルックになろうか。」
「いやいや。ダブルで捕まるだけだから。」
「これは、ボクのプロポーズだよ?独房で共に孤独に過ごそう。」
「訳が分からないよ。とりあえず、中に入るね。」
最初のコメントを投稿しよう!