12:アーティスちゃん

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タイマーが鳴り響くと、彼女の性器から顔を離す。満足げな顔をして、彼女はベッドを指差した。 「じゃあ次は、絵のモデル。いつものように、やらしく服脱いで。」 言われるがまま、僕はベッドの上でゆっくり脱いでいく。そして問われながら、僕は体も心も丸裸にされていった。 「久保、今恋してるでしょ。」 足で器用に絵の具をパレットの上にのせながら問われる。 本当にこの人は勘がいい。本人いわく、歩んでいる人生のオーラが見えるらしい。 訳が分からない。 「凄いね。うん、恋してるを通り越して、結婚してずっと一緒にいるつもり。」 「ふふっ、残酷だね。ボクは何回も愛の言葉を伝えてるというのに、いつも君の心に入り込めない。」 「だって、訳が分からないもん。」 「あぁ、孤独だ・・でもそれが気持ちいい・・。」 「本当に訳がわからないよ。」 筆を足の指に挟み、キャンパスに黄色を塗り手繰るアーティスちゃん。更にパレットの上に、ピンクや黄緑と春のような色味を感じる色が乗せられていた。そしてもう1つの近くのパレットには、白と少量の黒がのっている。 「その子、ごくごく普通の優しい女の子でしょ。」 「普通・・うーん。でも優しい子はあってるよ。」 「いや、普通の子だね。久保の個性に堪えられず、いつか離れ離れになっちゃいそう。」 「・・そんな事はない。」 「あるよ。だって、久保はボクと同じ。一生涯孤独なんだから。この柔らかな色味、久保のせいでどうなっちゃうかな?混ざりあってどす黒くなっちゃうかな?」 あぁ、始まった。ボクはMだよといいながらSになるの。 この人は、僕を精神的に追い詰め1人ボッチにさせて絵を描く事が好きなんだよなぁ。 「後さ、久保は浮気者だよね。2つ・・いや2つの色が1つになった白とグレーの狭間の色は誰?」 「えっ、何それ。わからない。」 「自分の感情に鈍感だね。確実に久保の心に入ってきてるよ。未知数な色だけど、最終的には久保に泣かされそう。」 「はいはい。それで僕はどうせ孤独になるんでしょ。」 「あぁ、そうだよ。そして孤独なモンスターになる。早く感情を爆発させる久保が見たいなぁ。本当に久保は他の色を殺すグシャグシャな色を持っているからね。」 「訳がわからないよ。」
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