12:アーティスちゃん

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呆れながら言う僕に対し、アーティスちゃんは楽しそうだ。 ある程度キャンパスに描き終わると、アーティスちゃんは僕のリュックを顔でまさぐり薬を出す。いつもの事だ。 「くお、くしゅりつかって。」 「うん。」 口でベッドまで持ってきたアーティスちゃんに言われた通り、薬を飲み干した。 火照らない体に、一点だけ集中して熱が入りゆっくり勃起状態になり、下半身に神経がいくものの、その中でも満たされきれず虚しさが心に残っている。 そんなただ1人震えた勃つ僕のモノを、アーティスちゃんはスラッとした足で柔らかく踏みつけたり撫でたりしてきた。 「Sだなぁ・・。」 「Mだよ。久保のモノをいれたくてしょうがないのに、いれてないんだから。」 「いれればいいじゃん・・。」 「そしたらボクらは、孤独じゃなくなる。絵が売れなくなっちゃうから困るなぁ。久保とボクは繋がりがなく、孤独が1番さ。」 「僕の経験人数、数百人なんだけど・・。」 「それでも孤独な久保は、本当に1人ボッチなんだと思う。天才だよ、羨ましい。」 「・・訳がわからない・・。」 アーティスちゃんは足を引き、再度キャンパスの前に座り口で筆を咥えだす。 彼女の絵の仕上げのモードに入る。 「くお、ぬいて。」 僕はしごき、自らモノを慰める。 物理的には気持ちいいけど、心はただ虚しい。 「いいぬぇ!さびししょうなかおしちぇる!」 そんな僕に、喜ぶアーティスちゃん。 セックスは2人で気持ちよくなるもの。お互い全神経一体になれる行為。 気持ちが通じ合え、孤独じゃなくなる瞬間。 悔しいけど、僕はある言葉を呟いてしまう。 「寂しい・・。」 寂しいけど、体だけ気持ちよくなって僕は逝った。 「久保、描けたよ。」 抜き終わり呆然としている僕に、アーティスちゃんが足を使い絵を僕の方に向けてくれる。 黄色とピンクの背景に黄緑の丸が飛び散り、白と灰色のグラデーションのような線が漂い、その中心の黒に吸い込まれている。 正直、よく分からない。 おねーちゃんの方が、上手だと思う。
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