12:アーティスちゃん

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怒りがドンドン積もれば積もる程、アーティスちゃんは喜んでしまう。僕は深呼吸して自分を落ち着かせるが、彼女は言葉で責めていく。 「久保、怒っていいんだよ?無理に人間をしなくていいんだよ?この、高い芸術品を壊しまくって、ボクを殺してもいいんだよ?ボクね、久保の中に潜む凶悪な魔物を見たいんだ。いるでしょ?衝動的に壊したくなる何かが。ボク、そんな久保を見たら凄い作品が描けそうなんだ・・!」 そう挑発されている最中、運良くタイマーが鳴った。僕はすぐさま服を着替える。 「久保、時間的にボクは最後のお客様でしょ。オマケしてもっと居てよ。」 「嫌だ。」 「つれないなぁ。まぁいいや。あの2つの色が久保をどうしてくれるか楽しみにしてる。愛してるよ久保。」 「訳が分からない。」 そう冷たい一言を発し、僕は家を出た。 こんな塩対応でもアーティスちゃんは喜んでまた雇うだろう。 「あぁぁぁぁっ・・。」 帰路を歩きながら僕は唸り声をあげ、必死に怒りを抑えている。 「大丈夫だよ、僕。終わったから。」 そう自分をなだめたが、お腹と心臓にかけてくるムカムカが収まらない。 こういう時は、ことりちゃんに限る。 彼女と話すだけで、全てがそこに行き心が収まる。 僕は電話をかけてみるが、彼女は出なかった。前までは僕の連絡にすぐ出る印象であったが、最近はなかなか気付いて貰えないでいる。仕事が忙しいと言っていたが、寂しい気持ちになってしまう。 過去のことりちゃんのご両親の件もあり、アポなしで自宅へ訪れる気も起きず、感情のやり場に困り果てた。 そんな時、少し前に届いた誘いのラインに気付きテンションが上がった。 「ムーちゃん!」 「・・やっぱり解散。」 「何で!?ムーちゃんから呼んだのに。」 「泣いた痕跡があるから。てか、仕事終わりって情緒不安定な事が多いの?めんどくさい。」 「日によるかな?でも今は、カラオケ店で絶叫してきてスッキリしたばっかだし、なんで泣いたのか忘れちゃった。」 「ふーん。トリアタマも悪いものじゃないな。」
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