00:りんごちゃん

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障害者を、天使と呼ぶ人達がいる。 純粋で無垢で、汚れがない。 この例えをした人達は、善意なのだろう。 むしろこの空想の生き物の例えこそ、人権与えてないとすら思ってしまう。 端から見て人として足りない部分があったとしても、人間らしいドロッとした思考を持っている事。 何処かしら欠陥があったとしても、三大欲求を満たさないと生きる気力がなくなる事。 それらをタブー化されるような天使という言い方は、彼女らの性を満たしてきた僕にとって、残酷すぎる表現だと思ってしまう。 「4時間後に、後1人かぁ。」 通行人はいないものの、いつ遭遇してもおかしくない住宅街だったが、わざわざ声に出し、自分のスケジュールを確認する。 うん、アウトプットは超大事。 忘れっぽい僕には、特に。 うーん、移動やお昼ご飯を食べる時間があったとしても、4時間は長いなぁ。 僕はスマホを眺めながら、人から見たらゆっくりなペースで予定を考えていく。 ・・あ、次のお客さん、りんごちゃんの家の近くじゃん。 今日は施設が休みの日だし、会いに行こうかな? ついでに、お昼ご飯も頂こう。 りんごちゃんのご両親にアポをとり、家を出るタイミングのアラームをセットしてから、足を進めた。 りんごちゃんは、自閉症スペクトラムで知的にも足りないと判断されてしまった女の子。 ちなみに、りんごちゃんという名前は、本名じゃなく僕が勝手につけたあだ名だ。 更にいうと、女の子といったけど、僕より10才上のお姉さんだ。 きっとりんごちゃんは、障害者は天使という人にとって、理想のエンジェルなのだろう。 いつも笑顔で愛嬌の良く、人語は言えない。 でも、そんな彼女にも性欲はある。
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