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「あははっ!どうぞどうぞ!」
「と、戸惑わないのかよ・・!?」
「えっ?皆でお風呂は楽しくないですか?」
「はぁっー・・アンタ、生粋に人が好きなんだな。」
「小学校の時に友達100万人とか目標に書いてたりしたんで、そうかもしれないですね。」
お父さんも体をすすぎ、共にお風呂へ浸かりだす。男2人だと結構キツく、自然に体がぶつかり合う。
その様に彼は、照れ笑いをしてくれる。
「息子も、欲しかったんだ。」
「・・そっかぁ。」
「娘の面倒、全然みきれてないのにな・・いや、今まで見てもこなかった。本当に、妻に任せきりで、仕事ばかり。現に、意味がわからない娘に、怒鳴ってしまっている・・。」
「そうかもしれませんが、不器用ながらも向き合っている姿、見えてきますよ。特性があるタイプとの共同生活は本当に大変だと思います。過去はどうであれ、アナタは逃げないで向き合って共に過ごしている。立派です。」
私服に着替え、夕飯をついばむ。
ご馳走になったのは、焼おにぎりと豚汁と漬物だった。美味しい、特に具が大きく切られた豚汁。更にビールまでご馳走になった。
「ねぇ、一緒に食べようよ。」
部屋の片隅でオモチャのピアノを弾くぐるぐるちゃんを誘ってみるが、無視して遊び続けてる。
男女の仲を楽しんだ間柄なのに、ドライだなぁ。
「人見知り、強いタイプですか?」
「あぁ。あんま懐かないな。・・でも、もっと見えない位置まで逃げるんだ。あぁ見えても、久保さんわりと好かれてるんじゃないか?」
「そうなんだ!嬉しいなぁ。」
食べ終わり家を出る際、僕は仏壇に手を合わせた。
遺影には、優しそうに笑う女性。
そして過る、ぐるぐるちゃんの性行為。
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