03:おねーちゃん

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あ。今日の最初の依頼、僕を念入りに下調べをしたご夫婦の子だ。 結構前に予約した人だが、その人の事は覚えている。 ご夫婦は僕を雇う前に、かなり高い料金を支払い面会を求めてきたのだ。 そんなの、4年間勤めて初めての事だった。 常識がありそうな雰囲気に、キチッとした格好。とてもじゃないけど、闇業界が関わるこの店に無縁な存在だ。 ご夫婦の後ろのロッカーにこわいひとが隠れ、スーツを着た男モードのオカマさんが仲介になり、面談が始まった。 「娘さん、社会人になってからうまく行かず、家に籠るようになってから受診して、ADHD不注意が発覚したんですね。」 「はい・・。会社でうまくいかなかったのは、最初は甘えだと思ったんです。まさか・・娘が、発達障害だったなんて・・。」 「娘さん、その特性を持ちながら、3年間頑張って勤めてたんですね。凄くご立派です。」 男モードのオカマさんは、同情的な表情で柔らかいものいいでご夫婦と話しを進める。普段は趣味でレオタードを着てお仕置きを楽しんでいるので、なかなかのギャップだ。 僕は素直な疑問を質問にし、会話に混じる。 「それで、どうして僕を下見した上で、風俗を使おうと思ったのですか?」 「娘は、性に関して意欲が強すぎて・・家に籠るようになってからそればかりになってしまっていて・・。」 「その性の対象が、2次元の、こ・・子どもなんです・・。さすがに、現実で手を出すことはないでしょうが、せめてもう少し健全な・・現実の世界に近付いて欲しくて・・。正直、娘は話し方に癖が強く、イジメを受けた過去もあるので、障害者専門の風俗ならキャパが広いと思いまして・・。」 「なるほど。」 「・・写真も素敵ですが、実物はもっと綺麗なんですね。なんで、アナタみたいな人がこの仕事に・・?お金は稼げるのかもしれませんが、アナタなら他にやりようがありそうなのですが・・。」
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