03:おねーちゃん

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僕はおねーちゃんの部屋の前に立ち、タイマーをセットした。そして、忍び足で侵入していく。 おねーちゃんは気付かず、イヤホンをつけパソコンの画面に釘付けになり、胸と股をまさぐり自慰していた。 部屋はモノで溢れ返り、漫画が乱雑に積まれている。 まさに、彼女が持つADHDの頭の世界が見えてくる。ゴチャゴチャして、空想世界を好むタイプ。 僕はその1つ1つを覗いてみる。 漫画のジャンルは様々だが、彼女のお気に入りのキャラクターがのったモノに関しては、薄いものやら分厚いもの、全てコレクトしているのでは?と思えるレベルの量だ。 自作であろう絵も、沢山ある。 ほんわかしたイラストから結構過激なものまで。絵の事はよくわからないけど、漫画家みたいに凄く上手だと思う。 山積みになったスケッチには、沢山のデッサン画が描いてあり、特にヌード画のページが力をいれて描かれているのが伝わった。 ・・と、結構荒らしているけど、全然気付いてくれないなぁ。 僕はおねーちゃんのパソコンを、覗いてみる。 そこには、例の男の子が・・ 「・・うわぁ・・。」 「・・!?うわぁぁぁぁっ!?」 真横でドン引いた声を出すと、さすがにおねーちゃんは気付いてくれ、壮大に叫びながら椅子から落ちた。 「おねーちゃん、大丈夫?」 「だ、だ、誰・・!?」 「おねーちゃんの愛の力で、2次元から合法の年齢(22歳)になって飛び出してきた弟だよ☆」 「とびだし・・おとうと・・!?」 「うん!おねーちゃんの事が大好きすぎて飛び出して来ちゃった!」 「いや、明らかに横で死んだ目をしてドン引いてただろ・・って、えっ、ぇ・・。いつからそこに・・てか、わ、私さっきまで・・。」 「まぁ、人間1人でいるならそんなもんだよ。」 絶望のあまり、魂が抜けた顔をするおねーちゃん。そりゃそうだよね。 頭を撫でて慰めようとすると、眉間に手をあて余った片手で僕の前に押し出し、漫画のようなストップをかけるポーズで制止してくる。
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