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おねーちゃんの返事はないけど、勝手ながらも嬉しそうな姿が思い浮かべられた。
それを前提に、背後にいる彼女に僕は話しをし続ける。
「そうだ!おねーちゃんの目の前に、素晴らしい筋肉があるよね?これ、副産物なんだ。僕、運動苦手でね、その練習をし続けたことがきっかけなんだ。」
「えっ・・意外。目茶苦茶出来そうだけど・・。」
「毎日しているのに人並みにも出来ないよ。でもね、その習慣が体に反映され、目の前のおねーちゃんの芸術に関与している。」
「・・・・。」
「・・僕はルックスで色々やれる人に見られがちだけど、何も出来ないんだ。どうしても他人が見え、比べてしまって苦しい時もある。けど、目の前の課題を乗り越え、確実に昨日の僕より成長しているであろう僕を褒めて生きている。・・それが人から見たら当たり前のほんの一歩だけど、そうやって自分のプライドを守ってる。」
「・・目の前の課題・・私は何だろう。とりあえず就職して、自立なのかな・・。」
「もっと、目の前の課題に取り組まない?だって裸体の男がいるんだよ?セックスとかさ!」
「ぶっ・・!」
「アハハッ!半分冗談。とりあえずは、絵の完成だよね。」
振り返り、わざとおねーちゃんの横に引っ付き、スケッチブックを覗いてみる。
すると、柔らかなタッチで僕の後ろ姿が描かれていた。
「あれ、もう完成してるんだね。おねーちゃん描くの早いし、やっぱり上手!」
嬉し恥ずかしそうなおねーちゃんの顔を堪能してから、その前のページをめくってみる。
すると、顔とイチモツの部分だけ描かれてない僕が出てきた。
「あれ、途中?描くの恥ずかしくなっちゃった?」
「・・違和感が、あって・・。」
「えっ?」
「大学のヌードデッサンの時から思ってた・・皆に見られてるのに、羞恥せずに冷静な顔で裸でいるんだよ・・?裸体ってもっと感情が顔に出て、エロスを感じてこその芸術だと私は・・っと、何言ってるんだろ・・。」
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