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凄く分かりやすく、目を輝かせ好意的な眼差しを向けている。
普通、出張風俗って時点で却下される事案なのに。そこら辺、浮世離れしたお嬢様だからかな。
「このうさぎ、イジメで出来た火傷だったんです。・・でもらこうやって、すばるさんに覚えて頂けるきっかけになったから、悪い跡じゃないです。」
「イジメの傷?酷い・・さぞかし辛いことなのに、僕の存在で前向きな考えになれるのなら嬉しいです。」
「はい、辛いんです・・!」
「えっ?」
辛いという単語に引っ掛かったようで、この後幼稚園から遡り、受けてきたイジメを告白された。
お気に入りの靴を汚された事から始まり、消しゴムのカスをぶつけられたという小さな事から、教室で脱がされたり複数に掃除用具で殴られたという大きなイジメまで。
よくこんな細かく覚えていられるなぁと関心しつつ、僕は彼女の頭をひたすら撫でて、頷きながら聞いていた。
・・この時間内で、この子の最終的な終着点はどうすればいいんだろう。お礼を受け取るまでだとは思うけど、きっとそれは彼女自身って展開だろうなぁ。うさぎちゃん的に求める事は恋人なのだろうけど、それは無理だしなぁ。そもそも、エッチまで行けばいいのかすらわからない。
自分の世界に入り泣き続けるうさぎちゃん。
頭を撫でつつ、部屋を観察する。
パッと目につくのは、レースカーテンのついたベッド。高級感のある木製の家具類が並べられてあり、整理整頓や掃除が行き届いている。
本棚が充実しており、僕が音読してきた恋愛小説が複数。どれも、主人公を受け入れる優男がヒロインだ。今の彼女を見ている感じだと、嗜好がそのまま現れている。
そして、それを僕に求めている。
「お父様やお母様も、仕事ばかり。メイドさんも仕事だけの関係。友だちがいない以前に、私を見るやいなや、めんどくさそうな顔をしたり攻撃してきたり・・好きで足が無いわけじゃないのに・・。1人が、寂しい・・。」
そう今までの話しをまとめ、うさぎちゃんはワッと大泣きしだす。
そんな彼女に対し、僕は抱き締めつつ髪を軽く撫でて対処する。
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