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お店的にはさっさと破綻させ闇金融に落としたかったようだが、僕が希望する細く長い関係を尊重し、たまに食事をして仲を取り持ち、貯まり次第僕に金を落とすという状況を現在維持している。
だってさ、もったいないもん。
こんなあたたかい家庭を、壊すなんて。
「今日も、ごちそうさま!次来た時は、ハンバーグが食べたいです。」
「ふふふっ!そうやってリクエストするなら、もっと早めに来ることを教えて下さいよ!」
「そういうの、出来ればいいんですけどね。僕、気まぐれだから。まぁでも、僕が来るのって、皆がいる日曜日のお昼なんだし、それまでしばらくハンバーグでいいんじゃないですか?」
「ハハハハハッ・・!いいですね、そうしますね!」
僕の意見、採用してくれるんだ。
本当に、良い人達だなぁ。
こんな素敵なご両親に会わせるきっかけになったりんごちゃん。
玄関に座り込み、笑顔で僕を見ている。
僕は既に靴を履き終えていたが、膝で床を歩き、りんごちゃんの口にキスをした。
「また、来るね!」
そういうと、りんごちゃんは全身を悶えさせ、歓喜を奇声で表現しだす。
「・・良かったら、お菓子でも・・と思ってたのですが、やっぱりこの後、お仕事ですよね・・?」
「はい、そうですね。」
自分で聞いた事なのに、ご両親の顔は明らかに曇りだす。
しょうがないよ、僕はこれで生活をしているのだから。
りんごちゃんの他に、性を満たしたい人は沢山いるのだから。
「では、また!」
せめて雲ってしまった玄関に日差しが入り込めるよう、満面の笑みで扉を開けた。
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