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自分の最大限の失態に身を震わせているのに対し、メイドさんは口を押さえ笑いを堪えている。
「う、運命の人とか言ってたけど・・まさか風俗・・!ぷっ・・ふふっ、大丈夫です、誰にも言いません・・!ふふふふっ、外までご案内します。」
ご機嫌そうに、メイドさんは扉の前まで送ってくれた。
「本当に、お疲れ様です。大変なお仕事ですね。」
「いえ・・。」
「・・お店の名前、PUZZLEでしたっけ?」
「はい。」
「やはり、障害者専用ですか?一般の人は使えますか?」
「専門ってだけで、誰でも・・。」
「・・そうですか・・。」
舐め回すような目で僕を見た後、メイドさんは門は閉め、僕は1人になった。
「ぁぁぁぁぁぁっ・・。」
そう自然に声を発し、貯まったストレスを出そうとしている。
イライラだけではない、どこかムカムカもしている。
お願い、キチガイな自分、出ないで。
「ぁぁぁぁぁぁっ・・。」
深呼吸をした、怒りを静めるツボを押した、飲み物を一気に飲んだ。
自分を抑えるあらゆる事をしたら、唸り声は消えたものも、まだ心に溜まっている。
「僕、お疲れ様。さぁ、どうしようか。」
そう、自分を労り相談する。
なんか、あたたかいものに囲まれたい気分だ。
あたたかいものとは・・家庭?料理?お風呂?
・・あ、五右衛門風呂・・。
「そんな訳で、来ちゃいました!」
「いや、いいんだけど・・仕事じゃなくて、本当に遊びに来るんだな・・。オマケに、凄く急に。」
そうぐるぐるちゃんのお父さんに驚かれたものの、すんなり通してくれた。
仏壇の前で、ぐるぐるちゃんはビー玉を転がして遊んでいる。相変わらず僕と目をあわせてくれない。寂しい、けど仕方ないよね。実は僕も、目を合わせるのが苦手なんだ。苦手というより、反射的に背けちゃう。だから分かる。
お父さんと風呂の用意をした。
相変わらず、ぐるぐるちゃんは炎を見るのが好きなようで、窓から焚き火を見る姿が釜風呂へ入るときに見える。
「気持ちいい~。」
「よかった。普段入らないけど、久保さんが来るなら俺も湯船に浸かるきっかけになる。」
そう隣で、当たり前のようにお父さんもお風呂を楽しんでいる。
すっかり裸の付き合いをする仲になれた。
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