6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ。何でお風呂場に卵の殻があるの?」
シャワーから帰還した第一声。
彼女は明らかに、過ちを犯したように顔を青くする。多分、しまい忘れたのだろう。
触れて欲しくない事かもしれないが、持ってしまった興味心。キラキラ目を輝かせてると、彼女は戸惑いながらも教えてくれる。
『貧乏臭いけど、肌に良いからお風呂にいれてる。』
「なるほど。卵肌って言葉あるけど、卵自体にもツルツルさせる効果があるんだ。よかったら後で一緒に入ろうよ!」
『入りたいの!?(笑)』
「うん、一緒に入りたい。」
『一緒に入る仲になれたら(笑)』
そう少し手は震え、複雑な笑みをしてホワイトボードで伝えてくる。
あ、このパターンは恐くなっちゃって、最後まで出来ないかも。
個人的に残念だけど、お客様優先。
『良かったら、お茶飲んで待っててね。飲み物温かい方が良い?』
「うん。」
『紅茶とほうじ茶とカモミールティがあるよ。』
「カモミールティがいい。」
『手作り苦手?じゃなかったらプリンも食べる?』
「食べる!冷蔵庫で存在見つけた時から食べたかった!」
『めざとい(笑)』
こだわってそうな食器類に、フルーツ、プリンとそれぞれ別にのっている。
お菓子の時間と彼女といる時間が重なり、食べれないと思っていたから本当に嬉しい。
『後、良かったらこれ読んで。』
かなり緊張しながら渡されたのは、ピンクの便箋。
「手紙?あんま貰った事ないから嬉しい!」
『またまた!ラブレター沢山貰っているでしょ!』
「・・本当に貰ってないよ。だから、凄く嬉しい!大切にとっとく。」
『とっとく用の手紙じゃない!』
「でも、大切にしたい。君の字、好きなんだ。」
そう喜んでいると、彼女は動作すらナチュラルさが失った状態で、ガチガチとした動きでお風呂に向かった。
お菓子は、1日1個。
僕はフルーツは手につけず、プリンを口にいれた。卵が濃厚で美味しい。
舌を楽しませながら、僕は手紙を読みはじめた。
最初のコメントを投稿しよう!