01:横田君

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よっし、2人目終了。 仕事はここまでだ。 「頑張ったね僕、お疲れ様。」 実際に言葉を発し、自分を労った。 疲れた体のご褒美に、コンビニでチョコレートでも買おうかな? そう疲労回復を目論んでいたが、ドデカい僕の着信音とかけてきた相手に、疲労が2倍に増えてしまう。 着信相手名、こわいひと(和泉)。 「和泉さん、お疲れ様です。」 「久保、仕事終わったか?」 「はい、後は報告書だけです。・・今日は直帰でいいんですよね。」 「そうだったんだが、横田がやらかして・・代わりに、お前が行って欲しいんだ。」 あー、コワイコワイ。 もう、只でさえ怖いハスキーボイスなのに、不機嫌が拍車にかかり、地響きで天変地異が起こりそうな程、低い声を唸らしている。 こんな状態のこわいひと、会いたくないなぁ。 でも、薬もきらしてるし、フォローしないと横田君の命に関わるからなぁ。 いや、もう骨を拾わなきゃいけない状況かな?だったら、証拠隠滅される前に、骨を納めてご家族に送ってあげなきゃ。 「わかりました。お客様の情報も欲しいし薬のストックが切れたので、一回店に戻りますね。」 「あぁ、頼む。」 そう手短に言い、こわいひともとい店長の電話が切れた。 僕の勤める店は、都会の片隅の裏路地の壁に入り口の扉が張り付いたようにあるのだ。 そう、まさに表社会に見られないような造り。 はじめは恐怖の一色だったけど、今では案外居心地は悪くない。 何より、凄く平等な場所だ。 何かが欠落していても、そこには冷たい目線や減点がなくて、あくまでもその本人の心の持ちよう。 それが、僕の勤める店、【PUZZLE凸】だ。 女性障害者向けの出張風俗店。 破綻価格でルールを犯した時の罰則は厳しいものの、世間がタブー化する性欲を最大限に満たせるオアシス。
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