05:ことりちゃん

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そんな僕の言葉に反応し、口が僅かに動いたがすぐに閉ざされる。 『久保君なら大丈夫だろうけど、うまく口が動かない。』 ホワイトボードで顔を隠し、そう伝えられた。 僕は病的に、共感力がないらしい。けど、経験を積んでの理解は可能。 今の彼女のトラウマは、味わった事があるから共感出来る。 人が僕をヒトとして見なくなった目線を浴びるのは、本当に苦しい事だ。 消える父親、腫物扱いをする教師、避けるクラスメイト。 そんな記憶がフラッシュバックして何度も回り出す。 目を強く結び深呼吸をした。すると、目の前の景色がキチンと見えてくる。 ことりちゃんが、泣いている。 あれ、僕も泣いている。 どちらが先に泣いていたかは分からないが、力強く抱き締めあい声を殺して泣いていた。 事が終わり、服を着て玄関前。 『長居させちゃってごめん。2時間厳守なのに。』 「好き勝手にいちゃったし、そこは僕の時間のやりくり次第で言うほど厳守じゃないんだ。この後予定はないし、気にしないで。」 むしろ、もう少し長居したかったなと思いながら、僕は扉を開けた。 すると彼女は、眩しそうに目を細目にしだす。行きもそんな風にしてたけど、今は夕方だし眩しいかな? 「ことりちゃんって、視力に問題ある人?」 『ううん。なんで?』 「いや、外の光見ると、眩しそうにするから。」 『外あんま出ないからかな?』 「出ない日もあるの?」 『・・いつ出たっけ・・?』 「そのレベルなの?」 『あ、ゴミ捨てで週4回は出てた!』 「それ、外へ出たに入らない。買い物は?遊ばないの?」 『買い物はネット、遊びもネットで宅飲み。』 「・・引きこもりの定義って、6ヶ月以上家から出ないことなんだけど・・。」 『あっ、引きこもりかも(笑)』 いや、笑じゃなくて。心身の健康に良くない。 そもそもオナニー狂いもそれで助長しているのでは、と疑ってしまう。
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