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そんな僕の言葉に反応し、口が僅かに動いたがすぐに閉ざされる。
『久保君なら大丈夫だろうけど、うまく口が動かない。』
ホワイトボードで顔を隠し、そう伝えられた。
僕は病的に、共感力がないらしい。けど、経験を積んでの理解は可能。
今の彼女のトラウマは、味わった事があるから共感出来る。
人が僕をヒトとして見なくなった目線を浴びるのは、本当に苦しい事だ。
消える父親、腫物扱いをする教師、避けるクラスメイト。
そんな記憶がフラッシュバックして何度も回り出す。
目を強く結び深呼吸をした。すると、目の前の景色がキチンと見えてくる。
ことりちゃんが、泣いている。
あれ、僕も泣いている。
どちらが先に泣いていたかは分からないが、力強く抱き締めあい声を殺して泣いていた。
事が終わり、服を着て玄関前。
『長居させちゃってごめん。2時間厳守なのに。』
「好き勝手にいちゃったし、そこは僕の時間のやりくり次第で言うほど厳守じゃないんだ。この後予定はないし、気にしないで。」
むしろ、もう少し長居したかったなと思いながら、僕は扉を開けた。
すると彼女は、眩しそうに目を細目にしだす。行きもそんな風にしてたけど、今は夕方だし眩しいかな?
「ことりちゃんって、視力に問題ある人?」
『ううん。なんで?』
「いや、外の光見ると、眩しそうにするから。」
『外あんま出ないからかな?』
「出ない日もあるの?」
『・・いつ出たっけ・・?』
「そのレベルなの?」
『あ、ゴミ捨てで週4回は出てた!』
「それ、外へ出たに入らない。買い物は?遊ばないの?」
『買い物はネット、遊びもネットで宅飲み。』
「・・引きこもりの定義って、6ヶ月以上家から出ないことなんだけど・・。」
『あっ、引きこもりかも(笑)』
いや、笑じゃなくて。心身の健康に良くない。
そもそもオナニー狂いもそれで助長しているのでは、と疑ってしまう。
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