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「ことりちゃん、僕を駅まで送ってってよ。」
そう誘ってみると、嬉しそうに笑って頷いてくれた。
僕も嬉しくて、つられて笑った。
彼女の家は、少し歩いて大きな歩道橋を渡ったらすぐに駅へつける道。
「ことりちゃんが住んでいる位置も、工夫されてていいね。車や自転車を結構避けれて安全。」
手を繋ぎ一緒に歩道橋を登っていると、彼女は数十段で息をあげてしまった。
「アハハッ!散々したとはいえもう疲れちゃった?」
『日差しで溶けちゃう~。』
「じゃあ、向こう渡りきったら、木陰で休憩。あそこの自動販売機でジュース奢るよ。」
ことりちゃんのペースに合わせ、ゆっくり登りそして下っていく。
約束通り飲み物を買い、すぐ近くの公園のベンチで飲んだ。
『プリンジュースって、どんな味なの?』
「サラッとした、プッチンプリン。飲む?」
『うん。』
「ほうじ茶ラテっての、僕にも分けて。飲んだことないんだ。」
お互いの飲み物に口をつけ少し味わうと、はじめは紅茶のような味だったのに後味はほんのり甘くほうじ茶特有の柔らかい香りが広がり徐々に消えていく。
僕は一気に飲み干すタイプだけど、今はチマチマと自分の飲み物を楽しんでいる。
ことりちゃんと一緒にいる時間が愛しすぎて、少しでも引き伸ばしたい自分がいる。
「あっ!」
急にあるルールを忘れていた事を思いだし、僕は慌てて公園の時計を確認した。
「良かった・・。」
『どうしたの?』
「薬の効果きれる前に、間接キスしちゃったかなって。でも大丈夫だった。直接キスも出来る。」
公園には人がいないものの、人通りはある。見られていたと思うが、僕は構わず唇同士が合わさる軽いキスをした。
『エッチ!』
「散々、ベッドで乱れていた人がソレを言う?」
耳元でそう囁くと、無表情になり体を硬直されてしまう。
本当にもう、可愛いなぁ。
愛嬌や生活力があって、恋愛面では消極的なのに踏み込むと物凄くエロくて、トラウマを抱えているけど表に見せず明るくて。とにかく、全てが可愛い。
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