06:ボクはクボ

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「おはようございます、PUZZLEの久保で・・。」 言葉を聞く前に、体格のいい女性が僕の髪を掴みかかり、思いっきり床に頭をぶつけてくる。 床に倒れるご年配の女性。 僕は力を振り絞り、お財布が入ったバックと共に抱え外に出した。 「後は任せて下さい。この後僕はフリーなので、時間を気にせず休まるまで休んで下さい・・!」 そう早口で言い、扉の鍵を閉めた。 玄関には、彼女と2人きり。 「退院おめで・・。」 また言葉を伝える前に、ニヤニヤしながら僕の髪を鷲掴みし勢いよく顔を舐め出した。 「玄関じゃなくて、お部屋いこう?」 「・・・・。」 「・・部屋・・。」 「・・・・。」 彼女は構わず僕の服をひんむき、力一杯引っ掻いたり噛んだり楽しんでいる。 そう、彼女にとって僕は人ではなくお気に入りの玩具。 僕と出会った頃からは彼女はこんなんだったが、お母さんが言うには昔はもうちょっとマシだったそうだ。 元々重度の特性と暴力が激しく、さまざまな精神病院の入退院を繰り返していたら、どんどん凶暴化していったらしい。 正式に言うと、精神病院の時は安定しているが家に帰ると暴走するとのこと。それは、自宅で薬を使ってもだ。 「こっち、来て。」 僕は抜け出し、走って布団の部屋に向かう。すると彼女も追いかけてきて、着いたと同時に足を止めると容赦なく殴りかかったり、性的な部分を力強く掴もうとしてくる。 どんな声掛けをしても、愛撫したって彼女の心には伝わらない。ただ、彼女の世界に存在し満たすモノとして存在しているだけだった。 歯を食い縛り、ひたすら堪える。 2時間の我慢。逝かすとだいたい寝ちゃうから、彼女のお母さんが帰るギリギリまで耐えなければ。 最悪だけど、彼女との行為は作業だ。 何回もしているのに、親しみのあだ名も思い付かない。 恐怖の連続に耐えて、彼女を逝かせた。 寝て大人しくなった彼女を眺め、僕はシャワーで体をゆすいだ。 沢山残る痕。正直ペナルティーものだが、僕は服を着て証拠を隠滅した。 同時に、玄関から入る音がする。 「いつも2時間ちょうどですね。もっと休んでもいいのに。娘さん、寝てますよ。」 「久保さん、本当にありがとうございます。・・あなただけです、娘を人間扱いしてくれるのは。」
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