01:横田君

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地上部分だけ見ると、狭い店に見えるが、真っ先にあるエレベーターを降りると、それなりの広さのロビーや講習室、他にもろもろ複数の部屋が存在する。 その中で最も奥にある事務室に向かい、ノックをして扉を開けた。 「んっ~~!!!!」 「も~~、大切なお客様を傷付けたんだから、こんぐらいで済む事に感謝なさい!」 よかった、横田君生きてるし、裸で絶叫するほど元気だ。 でも、教育係のおかまさんに道具でお仕置きされて、凄く痛そうだなぁ。特に、お尻の穴。 そんな光景を録画され、もう2度と表社会へ返させないんだろうな。可哀想に。 僕は飛び散る汚物を避けながら、その奥にいるこわいひとの所へ向かう。 この人、凄いものと戦ってきたのだろう。 そう人生を物語る、筋肉と傷。 特に、片目が潰れて指が二本無いところが印象的だ。 「久保、連日続いてるが、3人目いけるか?」 「薬を使えば。・・和泉さん、横田君のお仕置きはこれでおしまい?」 「お前次第だ。お客様は、次に確実に性欲を満たさなければ、こちら側の違約金を請求するそうだ。」 「そんな流れなんだ。いいですよ、確実に横田君の尻拭いするので、横田君のお尻を解放してあげて下さい。」 そう言うと、横田君は手錠や道具が外され、僕にはお客様の情報と薬が追加で渡された。 「僕、何時頃に着く予定になっていますか?」 「18時だ。」 「あれ、この場所ならすぐだから、結構余裕ありますね?お菓子食べてから出れるかな。」 「・・油断して、遅刻するなよ?」 「大丈夫ですよ、僕にはタイマーがあるので。」 そう会話しながら、確実に電車へ乗らなきゃいけない時間と、着く時間の15分前にスマホのタイマーをセットした。 「悪いな、頼んだぞ。」 「いえいえ。」 「そうだ。俺のお菓子があるから、食っていいぞ。喫茶店に入って遅刻されたら堪らないし。」 「えっ、いいんですか?ありがとうございます、こわいひと。」 和泉さん、優しいなぁ。 ・・って。 「キャラメル1個・・。」 「すまんな、これしか残ってないんだ。食っちまった。」
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