06:ボクはクボ

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「お前だけじゃなくて、おにぎりも気持ち悪い。」 夜遅くまで仕事をしているのに、朝早く起きおにぎりを握ってくれる母。 手先が不器用でおにぎりをうまく握れないのに、僕が納得するまで握り直してくれたおにぎり。 僕の心が弾け、凄い衝動にかられる。 気が付くと目の前にいるのは先生で、頭から血を流している。周りの机はグチャグチャなうえ、2ヶ所窓が割れて大惨事になっていた。 クラスメートは皆、化け物を見るような目で僕を見ていた。 「えっ・・教室壊れてる・・?」 「久保君、気が付いて良かった・・!」 「僕がやったの・・?」 「大丈夫だよ、皆怪我してない!1番大切なお友達は、壊してないから大丈夫!」 「でも、先生の頭から血が・・血が・・!」 「先生は、大丈夫!上手に止められなくてごめんね・・久保君は、悪くないんだよ!」 「でも、血が・・血が出るのは痛いこと・・血が・・あぁぁぁぁっ・・ごめんなさい、ごめんなさい!!」 翌日父と母が呼ばれ、校長室で担任を交えて話し合いが行われた。 父が来ると、僕の体が倒れてしまう程強く殴り掛かって一喝しだす。 「お前何してんだよ!!!自由な所がいいと褒めてたが、度が過ぎるんだよ!!!!小4だろっ!?やっちゃいけない事の区分つかねーのか!!?」 もう一発殴られそうになった時先生が抱きしめて庇ってくれ、それを見て父の手が止まった。 「久保君は、悪くありません。私が止めきれず、申し訳ありません。」 「いや、あの・・むしろうちが、先生を怪我させてしまって・・。」 「私は、大丈夫です。でも、謝罪の気持ちがあるのなら、前から通達しているように、久保君を病院に連れていってあげてください。」 僕が、病院に?何故? 「先生が怪我を治すんじゃなくて、僕が行くの?」 「うっ・・うぅっ・・。ごめんね、久保君。この先、生きる上でハンデになっちゃったら・・。でもね、今の久保君には必要な事だと思う・・。何があっても先生はずっと、アナタの味方よ・・。」 「先生なんで泣いてるの?怪我、痛くなっちゃった?」
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