06:ボクはクボ

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「ことりちゃん、声聞きたいよ。」 「っ・・んんっ・・!!!」 口を強く押さえ、横に首をふる彼女。 僕は指を激しく動かし、胸を再度口と片手で刺激する。 すると、ピュッと女性器から液が飛び出した。 「しお吹いた・・!?」 僕が驚く以上にことりちゃんが驚愕して、まじまじと濡れた場所を眺めている。 「アハハッ!本当に、ことりちゃんはやらしい。」 こんなにやらしいのに。反応してよ、僕の下半身。 何も起きない自分の体に絶望しつつ、とりあえず汚れを拭おうとリュックからおしぼりを出そうとした。 出そうとしたら、リュックが落ちてしまう。 落ちてしまって、飛び出してしまう障がい者手帳。 僕の中で時が止まり、ドン底まで絶望に落とされた。 僕相手にこんな事をされ、嫌だったかな。 手帳の存在で、一気にそんな気持ちが沸き上がってしまう。 現実を見なきゃ。恐る恐る、彼女の顔を見てみる。すると、案外現実は優しかった。 『久保君、仲間なんだ。気づかなかった!手帳見せて!』 特に引いている様子もなく、興味津々に手帳を眺めている。 僕はことりちゃんに手帳を渡した。 『複数持ってるんだ。全然分からなかった。どちらかというと、22歳という年齢を疑っていた(笑)若く見える!』 「このハンデを持ってる人、大抵精神年齢の発達遅いからそう見えるんだよ。」 『そうなんだ?テレビの知識で少し知っているけど、久保君そう見えない。天然な男の子って感じ。』 「同じ名前のハンデでも、人によって全然違うからね。特に僕の場合、合併して訳の分からない事になってる。」 『その訳の分からない所が、久保君の魅力なんだけどなぁ。良い意味で、翻弄してくれる。』 精神障害は脳の機能の不足や歪みにより、視野や関心が狭かったり、情緒の移り変わりが激しかったり、物忘れをしやすかったり、逆に異常なまでに記憶力が優れフラッシュバックに苦しめられたりなどと、本人に不都合な特性が数多く存在する。 ただ、その特性を持ってるからこそ僕である訳で、たまに自分という存在がハンデで成り立つと考えると苦しい面がある。ようは、僕という存在が、この世の障害になっているのだから。
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