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響く声
ヤトゥーの原野に布陣する黒の軍。
先陣が王子を守るべく、騎馬の歩を軽やかに進めてゆく。
だが、見よ。
なんと、天空より血の滴りし、棘の鎖が降りてきて
エルミーのその体を絡めとったのだ。
どこからか現れいでた、天兵の一群が、
囚われたエルミーを囲むように、ゆっくりと天を、
いや、天に掲げられた呪われた城、王都グリタリアを目指し、
昇っていく。
遠目にその光景をなすすべなく見ていた、
マディナスが、歯噛みする。
「ちぃ、ケイアスは、グレンは何をしている。」
その時、エルミーの昇る上空からごとりと転がりながら、
落ちてきた物があった。
それは、ニンジャ・アサシン・シノビの能力を持つ
ケイアス・ブラッドのその首であった。
そして、地上に残されたグレン達は、何故か身動きもとれず、固まっている。
そして、その真ん中に、砂で出来た彫像が見て取れた。
それは、まるで、神をも欺く男ダブルクロスを象ったように作られ、
そして、風もないのに、さらさらとその形を崩していった。
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