青空にブーケを

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控え室 係りの人が「お時間です」と呼んでいる。 純白のドレスに包まれ私は何もなかったかの様に笑顔をつくり部屋を出た。 青いブーケを渡された。 静かにパイプオルガンが鳴っている。 「新婦 茉莉奈、あなたは 健やかなる時も病める時も、喜びの時も(大切な人を思うが故の嘘は嘘じゃない) ・・・・・・・・・・誓いますか?」 「はい、誓います」 教会の扉が開け放たれた。 空を見ると翔が好きな透き通った青い空。 その青を見た時一筋の涙が頬を伝った。その涙が幸せの涙に見える様、私は笑顔を作った。ライスシャワーを浴びブーケトスの時が来た。 私が投げた青いブーケは青い空に溶け込んで一瞬見えなくなった。 まるで翔が受け取ってくれたかの様に…。 私は空に向かって翔に問いかけた。 「あなたは(翔は)嘘をついた事がありますか?」 翔の声が聞こえた。 「大切な人を思うが故の嘘は嘘じゃない」 おわり
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