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朝、目が覚めた翔がカーテンを明け窓を開けた。
「僕、この青が一番好きなんだ。透き通る様な真っ青な空の色」
「私も青好きだよ。でも空じゃなくて青いお花。青いお花のブーケが好きなの」
「へぇ、茉莉奈らしいね」
翔は私の好きな温かな眼差しで微笑んでくれている。
今日、私はどうしてもしたい事がある。
「翔、買い物付き合ってくれる?どうしても買いたい物があるの」
「うん、いいよ。珍しいね茉莉奈が買い物に付き合ってなんて」
私は社会勉強にと父の会社とは別の会社に就職をした。生活の為ではなかった。頂いているお給料は全て自分の為に使える事が出来る環境にいた。でも、翔にはそんな様子は見せなかった。夢に向かって必死に働きながら頑張っている翔を見て、たまたま産まれた環境が恵まれていただけの私が出すぎる事はしたくなかった。でも…どうしても翔の励みになる物を買いたかった。
「翔、ここだよ」
「えっ?ここ紳士服じゃない、それも超高級な!」
「うん、翔がいつか大きな賞をとって人前に出る時に着るスーツを買いたいの。お願い、買わせて」
顔の前で手を合わせ翔にお願いをすると、
翔は少し躊躇していたが私の真剣さがわかってくれた翔は
「わかった、必ずその日が来る様に頑張るよ!励みにする。ありがとう」
「じゃ選ぼうか?」
私は嬉しくてはしゃぎなから、翔は少し照れながらスーツを選んだ。
あの日からそれを部屋の壁にかけ翔は執筆活動を続けている。自信があったコンクールに落選した時も見るに耐えない落ち込みだった。でもそのスーツを見て気持ちを立て直し頑張っている。
人を信じる事が出来なかった私が翔で変わった。
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