青空にブーケを

その人は柏木雄二(かしわぎゆうじ)さん。スーツを着なれた笑顔が爽やかな紳士だった。

「宜しくお願いします」
私はこれからの生活をこの人と共に生きて行くんだ。と自分でも驚くほど冷静にその人を見ている。

「茉莉奈さんはお付き合いしている？いた？人はいらっしゃらなかったんですか？」

「えっ？」
爽やかにさらっと聞いて来た事に驚いた。

「いました。凄く好きだった人…。でも振られちゃいました」
私はきっと悲しげに笑っているのだろう。

「僕もお別れしました。遠距離で元々無理だったんでしょうね。…茉莉奈さん、少しずつわかりあっていきましょう」
信頼出来る人だと思う。でもいつもの事を聞いてみよう。

「すみません、変な事をききますが、柏木さんは今までに嘘をついた事ありますか？」

「そりゃあありますよ。でも大きな嘘はないかなぁ」

「大きな嘘？」

「まあ、大小は人次第ですけど、嘘で人を傷付けた事はないと思ってます。どうしてそんな事を？」

「いえ、別に聞いてみたかっただけです」

この事を聞くのもこの人が最後になる。