青空にブーケを

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明日は結婚式だ 翌日の準備をしていると、机に置いたスマホが光っている。 小説サイトの通知だ。 「翔、2ヶ月も待たせて今日新作?」 スマホを開く。作品ではなくコメントだ。 【 ご報告。 日頃より原田翔の作品を読んで頂いてる皆様、私は翔の兄でございます。 ◯月◯日 原田翔は病により他界いたしました。 3年前発症、10ヶ月前から病気が悪化し、それでも大好きな執筆は続けておりました ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 翔が書ききれなかった最後の作品の中に「僕の好きな澄んだ青空に青いブーケを投げる君が見たかった」という文章がありました。 最後は大好きなに囲まれ、いつか大きな賞を取ったら着るのだと大事にしていたスーツに身を包み、大好きな澄んだ青空に旅立ちました。 】 私は何処にも持って行けない気持ちを押さえる事が出来ずただ震えている。 「10ヶ月前の急用って…好きな人が出来たって…翔の嘘つき!」 こんな気持ちで明日の結婚式を迎えるなんて…。 あの日、翔が部屋を出て行ってからの同じ私が脱け殻の様に床に座ったまま、そしてあの日と同じ様に時間が経ち外が白みだした。 もう朝だ…結婚式だ…。 私の中では普通の行事と同じ感覚でしかない。 「茉莉奈!お迎えのお車が来たわよ!」 母が呼んでいる。 私は何も考えられず結婚式場に向う。
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