青空にブーケを

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私が小さい頃、忙しい母がいない時は父と一緒にいた。その時は秘書の女性がいつも一緒で父がその人に送る笑顔は明らかに母に送るそれとは違っていた。私は幼心にもある事を感じ取っていた。 私は小さい頃からいくつかの習い事をしていた。母が忙しい合間を縫って送り迎えをしてくれていた。その時はもう一人同じ男の人が車に乗って送ってくれた。迎えに来た時はいつも母一人。その時の母の顔はいつもの母の顔ではない様にみえていた。 それでも家族三人でいる時は父も母も普通の両親だった。それが幸せな家庭と思っていた。ただ、父と母の別の顔を知っている。私の中に人を信じると言う文字は無くなっていた。 大人になりその事を私なりに答えを導きだした。政略結婚の父と母には嘘は幸せを維持する為の手段だったのだと言う事だった。
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