青空にブーケを

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珍しく残業してしまい、何時もより遅い帰道。急に買い物を思いだしコンビニに立ち寄り商品を選びレジに並んだ。ふと見ると彼がいる。私の事なんかわからないだろうと、でも心臓の動きが早くなっている。 「いらっしゃいませ」 初めて聞く彼の声。 私が好きなあの目が私を見てる。優しい光を纏った笑顔。 「あっ!あの、本屋で…」 「は、はい。本屋で」 私たちはお互い「ふふっ」っと声にはならない笑ってしまった。 「あっ!いけね!」 彼は慌ててお会計を進め袋を私に手渡してくれながら 「ありがとうございました」 とまた素敵な笑顔を見せてくれる。 私は軽く頭を下げるのが精一杯で袋を受け取って店を出た。 初めてだ、男の人に見つめられて体が動かなくなった事。
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