青空にブーケを

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会社が終わり本屋に向かう。近付くにつれ心臓の動きが早まって行く。迷惑だったら、読み終えた本なんて失礼かもそんな事を考えながら。でも彼の役に立ちたい気持ちが勝っている。本屋に入り彼を探した。いつもの椅子に彼はいない。 いた!今日はいつもより早くカフェに移動していた。そして何時もの様にスマホを操作している。 私は1回大きく深呼吸をしてから近づいた。 「あの…すみません」 彼のあの瞳が私を捉え、それまでの緊張が一気に解れる様な笑顔を向けてくれている。 「あぁこんにちは」 「こんにちは、すみません、ご迷惑でなければこれ、受け取っていただけますか?」 今の私はまるで初めてバレンタインにチョコを渡すかの様に紙袋を差し出していたに違いない。 「えっ?」 彼は不思議そうな顔をして、恐縮しながらも紙袋を受け取ってくれた。 「開けていいですか?」 「はい、すみません。私が読んだ本ですが…」 「えっ?え~っ!」 中を見た彼は驚きと喜びが一気に来たのか大きな声を上げてしまい、回りの視線が彼に集中してしまった。回りを見渡し亀の様に首をすくめてペコんと頭を下げ。今度は小さい声で 「いいんですか?この本僕が読んでいたの知ってて?…あっ!座って下さい」 そう言って彼がソファを私に向けて動かしてくれた。 「えっ、でも…」 と言いスマホに目をやった。 「あっ!大丈夫です。コーヒー飲みますか?僕買って来ます!」 私の遠慮の言葉を聞かずにカウンターに向かって行ってしまった。
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