青空にブーケを

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「お待たせしました。シュガーとミルク…わからないんで持ってきました」 丁寧にテーブルに置いてくれた指が綺麗と見とれてしまった。慌てて我に返り 「あっ、すみません。それよりお邪魔しちゃったんじゃ…」 と、もう一度スマホに目をやる。 「あっ、これですか?」 「はい、大事な方にメールでもしてたらと…」 「はは、彼女ですか?いませんよ。だって僕毎日ここにいるでしょ?」 「そ、そうですよね?はは」 まだ緊張がとれないのか私はしどろもどろの返答しか出来ない。 「執筆です」 「執筆?」 「はい…web小説に投稿しているんです」 それから彼は今までに何回か賞を取ったこと。昨年まで心理カウンセラーとして病院勤務をしていたが体を壊し辞めた。それを機会に前から続けていた執筆を本格的にやってみようと、生活の為、時給が高い深夜のコンビニバイトをしてる事、ギリギリの生活なので、本を節約するのに毎日1ページづつ読んでは返していた事を話してくれた。 「そうなんですか、今お身体は?」 「薬は飲んでますが大丈夫です。あっ!」 「へっ!」 私は驚いて変な声が出してしまった。 彼は笑いながら。 「お名前、聞いてなかったですよね。教えていただけますか?僕は原田 翔(はらだ かける)です」 「保土田 茉莉奈(ほとだ まりな)です」 「茉莉奈さん…。何かぴったりの名前ですね?僕は本を読んでいる時、貴女が前を通る時はわかってたんです。香水ではない、シャンプーなのかなと言う薫りがしてました」 「やだ!恥ずかしいじゃないですか」 だんだん気持ちも解れて会話も弾む様になった時、彼は時計をチラっと見て。 「すみません、バイトの時間なんで…又良かったら声かけて下さい。毎日ここにいますから」 「はい!知ってます」 お互い笑い合って店を出た。
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