地下道

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僕の家の近くにある地下道は、薄暗くて人通りが少ない。 夕方も6時を過ぎるともう、ほとんど人通りは無くなる。みんな少し遠回りして、大通りや外れた道を通って、駅の方や家の方に向かう。 地下道にはドアがある。普通に考えれば備品がしまってあるんだと思う。 でも、薄暗い地下道の黒い扉はなんだか不気味な気がした。 今日、僕は通学路である誰もいないこの地下道を、たった一人で歩いている。 いつもより遅い下校になった今日は、ここを通るんじゃなかったといまさら後悔した。 ヒュオォォ…… 地下道を風が吹き抜ける。 実際はそんなに長い距離ではないけど、今日はなんだかいつもより長く感じた。 フッ…… 誰かが僕の後ろにいる気がした。 いま地下道に降りてきたんじゃない。いきなり現れたような感じ。 それが証拠に、その誰かは立ち尽くしている。まるでいきなり人の写真の等身大パネルを置かれたみたいに。 相手がその場を動いていないのは、なぜか後ろを見なくてもわかった。 僕は足を止めずに歩き続ける。 ちょっとだけ…… ほんのちょっとだけ振り返って見てみよう…… 僕は恐る恐る振り返ってみた。 …黒い……影だ…… 男か女かなんて分からない。ただ、人の形をした影が立っている。黒いモヤをまとって……
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