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「……お前は、正気でそんなことを言っているのか…?」
「もちろん正気だ」
「お前は……お前だからこそよくわかっているはずだ、私がどれだけ非道なことをしてきたのかを。汚れきった私を仲間にしようなど、どうかしている…!」
「それを言うならば俺も同じだ。殺し屋だった俺をユラシルは受け入れて仲間にした、殺し屋だとわかっていながらそうしたんだ。この男は今さら汚れ仕事をしていたからと言って気にするような男じゃない」
「ホッホッホー」
「真面目な話だぞ」
「すんません…」
縮こまるユラシルと彼を睨むセインを交互に見て、それでもリュードは戸惑う。もう混乱に近いかもしれない、そんな状態でありながら、
「私は…王女セリッシャの殺害にも関与していたんだ、シスフィート女王も傷つけたんだぞ…」
「げっ、マジ?」
「それは事実です、私が目撃していますから」
「ん~~……でも黙ってたらバレないんじゃないか?」
「確かに。内緒にしたらいいだけだよね」
「そんな簡単な話じゃないですよ、軽口挟むのやめなさい」
「「あい」」
今度はアリッシュに睨まれて頭を下げるユラシルとマリーラ。リュードはそんなふざけた態度をとるユラシルを真っ直ぐ見つめて必死に頭を回す。この状況での最適解を探しているんだ。
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