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「ユラシル・リーバック」
呼んだのはアベルセン共和国国王。
「これはお前の意志で左右されるような軽い話ではない。事態は一刻を争う状況、我々はなんとしても戦力を揃えなくてはならないんだ」
「つまり強制ってことっすか?」
「まっ、そーなるわな。お前の実力はもう学生の領域にゃ収まらねえモンだ。状況考えりゃお前を無理矢理にでも戦力として『錬巧の騎士』になれるように運ぶしか無えわけよ」
ブリスアイア海上国国王も同じ意見のようだった。話を聞いたユラシルは何度か頷いて───吐き捨てる。
「ぜってーヤだ」
「「………」」
「何故そこまで『探索者』に拘るのですか?国王たちがこうまで言っているんです、それ相応の理由がもちろんあるのでしょうね?」
「興味無いから」
あっけらかんと。
どこまでもユラシルの態度は変わらない。むしろ徐々に悪化しつつあることに後ろにいるアリッシュが肝を冷やし始める。
「『錬巧の騎士』ね、騎士からしたら光栄すぎてぶっ倒れるだろうけど生憎俺は騎士じゃないし騎士になる気も無い。切迫した状況ってのがどんなのかわからないけど、だからって俺が騎士になる理由にはならない」
国王を前に堂々たる立ち姿。
絶対に譲らない強い信念。
自由がモットーのユラシル・リーバックにとって強制は最も毛嫌いする物の一つ、だから意地でも従わない。従いたくない。
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