第2章

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先輩が、声のする方をちらりと見る。 上から下まで品定めするように、そのじっとりとした目線を向ける。 葵の様子が学校とは違い、明るく振舞っているのが余計に気味が悪かった。 「悠ちゃん、今週講義いなかったね!ここで会えてよかった。」 私に話を振らないでほしいと思い、テーブルに目線を落としていたのに、葵はそれに気づかないのか、気づいていないふりをしているだけなのか、私に声をかける。 「あー悠ちゃんの知り合い?」 先輩が、鬱陶しそうに尋ねる。 「あーはい。同じ講義取ってて。」 「苗字が似てるから、前後の席なんだよねえ。私たち!」 そう言いながら、私の横に座り込む。 二人がけのソファ席なので、彼女が私たちをわずかに押して入り込むこんだせいで、窮屈だった。 何よりも、そのいつもべたついている髪を至近距離で見なければいけないのが辛かった。
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