第2章

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彼女に対する違和感は、その統一性のなさによるものではないかと思えてきた。 例えば、髪はべたついているのに、小綺麗にしている服装。 だけど、ほのかの香る安っぽい香水の匂い。 その割に、肌はニキビやシミひとつない。 全体的な造形は、どちらかと言えば地味な方。 そして、キャンパスにいる時とは180度違う、その態度。 相変わらず、甲高い声で先輩に話し続けている。 帰るタイミングを失った私は、ただ目の前にあるぬるい水を少しずつ飲みながら、終わるのを待っていた。 ピッチャーに入った、あのまずいカシスオレンジがまだたっぷりと残っていた。 今日はお気に入りの服を着てきたけど、きっとこの薄暗く油っぽい居酒屋のタバコの匂いが混じった不快な香りが染みついてることを考えて、さらに憂鬱になる。
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