第2章

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他のサークルと同じように、今回参加した新歓もキャンパスから近いチェーンの安い居酒屋で行われた。 まだ馴染んでいない明るい色に染めた色が目立つ集団を店の前で見つけ、私も合流する。 「あ、サークルの新歓かな?」 上級生らしき人に声をかけられた。 真っ白な肌に、綺麗なピンクゴールドのアクセサリーが映えている。 私も、来年にはこうなれるだろうか。 「あ、はい。」 「そっかー、来てくれてありがとね。もうすぐ中に入るんだけど、あと5分だけ遅れてる人たちのこと待とうって話してて。」 「そうなんですね。わかりました。」 そわそわした気持ちを抑えながら、周りを見渡す。 手持ち無沙汰で、スマホばかり眺めている子が多かった。 少し先には、ギラギラとネオンが輝く一角があり、なんだか落ち着きのない雰囲気だった。 友達と来たわけでもない私も、スマホを眺めようかと思った時、隣に人の気配を感じた。 「あ、あの。」 「え?」 「同じクラス取ってますよね?なんか見たことあるなあ、と思って。」 振り返ると、葵と同じクラスの講義で見かけたことがあるような子だった。 「あー。あの特講のですかね。」 「そうそう!わかってよかったー!じゃなかったら、すごい変な人になっちゃうところだった。」 人懐っこく、微笑む。 「いやいや、今日一人で来てるの?」 「本当は、友達と来るはずだったんだけど、なんか急に体調悪いとか言ってドタキャンされて…。 でもせっかくの機会だし、つまらなかったら帰ればいいやと思って来て見たんだよね。」 「なるほど。私は一人で来たから、声かけてもらえてよかったよ。」 「そっかそっか。ならよかった。」 先輩が、大きな声で「中に入るよー。」と合図する。 「あ、行くみたいだね。」 気まずそうに、スマホから顔を上げて、中へ進んで行く人たちを見て、一体何をしに来ているんだろうと不思議に思う。
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