第2章

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なんだろうと、思いながら階段の方に目を向ける。 徐々に姿を現したのは、葵だった。 その日は、いつもに増して、レースが多い露出度の高い服を着ていた。 そして相変わらず、オイルを塗りすぎたかのようなべとついた髪をしていた。 あの最初にあった日に見たような、ぎょろついた目で、周囲を見渡している。 まさか葵も、あのサークルの新歓に来たのだろうか。 キョロキョロと見渡した後、サークルの集団を見つけて葵は駆け寄って行く。 「あ、あのー。遅くなってすみません!一年の高梨葵です。」 ズカズカとグループに入り込み、挨拶をしていた。 葵に関する違和感で、新たに気づいたのが彼女のその甲高い声だった。 目を閉じて聞いたら、可憐な少女を連想させるかのような、優しく響く声で、彼女はいつも空気を壊す。
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